June 03, 2007

伝説の厨房機器メーカー


今朝7時に携帯が鳴りました。私達の仕事はだいたい夜11時頃に仕事がひと段落して家に着くのは12時前後、色々済ませていると寝るのは2時、何か思い付くと遅くて3時とか4時とかで、朝の7時は熟睡しています。記憶に僅かにある番号、出ると業務用厨房機器のメーカーの営業のOOさん、あぁ確かに昨日ピザ窯にトラブルがあってFAXしました。彼は熱血です。明日3時に富士山の山頂でと言ったら2時半には登りきって下見をしていそうな人です。私はとてもそんなことは想像できませんからわかりましたと夢うつつで答えて電話を切りました。朝食を取り終わった10時頃に今度は作業員の方から着きましたと電話「え〜っ今日?」普通修理をお願いすると2〜3日後に渋々担当の方が来るものですが、オザキさんは違います。当日、遅くても翌日修理の方はすでにそこにいます。伝説の厨房機器メーカー。
修理の職人さんが言うには「あぁ〜メインバーナーのパイロットが破裂していますね」鉄製の部品ですからずいぶん大げさなこと言うなぁと聞き流していたのですが、はずした部品を渡されて見ると確かに破裂していました。予想以上に分厚い鉄製のパイロットですが飴細工のように爆ぜて広がっていました。私が返した言葉は「記念にもらっていいですか?」快諾されました。
500度以上の高温を維持するオーブンの最も過酷な負荷のかかるパーツですから常識からはずれることが起きても不思議ではありません。2mm以上の厚みがある鋳鉄の管が破裂する?想像を超えています。
我らがオザキさんの誇る940ITピザ用オーブンは私が計画し描いていたオペレーションを可能にしてくれた純国産では唯一と言っていいでしょうおいしいナポリピザが焼けるパワフルなオーブンです。
真のナポリピッツァ認定協会なるものがイタリアにはあります。当店のピッツァは何点かの要件で合致しないためその協会の基準には認定されないものです。その協会の基準は薪窯であることや生地の組成、生地の重量に関することで、その狙いはナポリピザの伝統を保護することです。よりおいしいものを作るための基準方法論とは言えない違う観念に基づいたものです。そこを重視して認定を受けるということは、現在の環境においては、よりおいしい料理を作るという料理人の基本的な心情に残念ながら明らかに背く可能性が多くあります。流通が格段に進歩して新たな素材が手に入れられる。技術の進歩で新しい道具を使うことができる、場所や時代が変わり、人の感性が洗練されて違う形態が求められる。
伝統に学ぶということはその精神や技術体系に触れて触発されることなのだと思います。そのままの質や量を維持することに固執していまえば、逆にその精神や技術を生んだ機知を捨てることになりかねません。
料理人として長年経験を積んだ後ピッツァに挑戦した私は、最初の時点で直感的に質や量よりも精神や機知、創生の時の姿を想像し、迷わずに後者を選びました。

苦労して認定をもらっても、厳正には新しい条件で物作りをしようという時には認定を返上しなければいけません。
料理人の最も基本的な心情、素材や道具を生かしてより良いものを作るということを無視した、質よりも量をより重視した基準を遺憾に思います。
200グラム近い生地のピザを一人で、イタリアでは一人で1枚を食べるのは常識です。一皿の料理として認識されていて、それは分けるものではなくてナイフフォークで一人で平らげるものです。
それを日常的に食べられるのはイタリア人かアメリカ人しかいないでしょう。
日本人の感覚ではせいぜい120〜130g、イタリア料理の調理の感覚でも量の加減は当然なことです。なぜ?ピッツァの巨大なその量にそれほどこだわるのか私が日頃から不思議に思っていることです。


01:48:35 | lafreccia | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks