February 08, 2010

美味しいピッツァの理由

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ピザ用オーブンのメンテナンスを行いました。
薪窯なら単純な構造で煤さえ取り除いておけば十分なのですが、うちのオーブンはナポリピザが焼けてアイドルタイムに煮込み料理もこなす優れものでなかなかデリケートな精密機械の類いです。
メンテナンスがとても大切です。
今回は特に温度を厳密に調整していただきました。
長く使っているとパイプの中に煤が溜まったりサーモに異常が出たり、パフォーマンスが落ちて焼き上げ温度が落ちてしまうことがあります。
それを今回しっかりと調整していただいてベストの状態が復活しました。
微妙な差なのですがどのくらい美味しいかは私達の大袈裟でなくて命にかかわることです。
「あぁ美味しい」とお客様が恍惚の表情をしてくださらないと私達は死んでしまいますw
私達が提供するピッツァは炉床温度で350℃上が450℃から500℃くらいのぎりぎりナポリピッツァの雰囲気が出せる上級のピッツァ界では比較的低温のものです。
しかしコストパフォーマンスでは最高と自負があります。
生地や焼きの工夫を重ねて今のピッツァの看板メニューがあります。
私はイタリア料理の職人です、その料理人の目から見てピッツァは実は料理とは呼ぶことができない、ピッツァはピッツァ以外の何物でもない。
料理人としてピッツァを吟味したときに、発酵という難関を経て醸成される生地のせいで硬直しがちな調理過程により極端に限られた選択肢で選ばれるレシピのピッツァが果たして秀逸な料理と呼べるのか否か?
呼ぶことはできません、ピッツァフアンの皆さんごめんなさい。
ピッツァ業界にはナポリピッツァ認定協会なる老害に似たものがあって、そこでは生地の組成、果てはミキサーの種類まで認定基準に含める癒着を認める大人の社会の免罪符?のような奇妙なやり方がまかり通っていますw。
さて実例を挙げてみましょう、例えば塩分。
ナポリピザ認定協会に合格した店で提供されるピッツァ生地の塩分濃度は2.5%です、普通に食されるパンの塩分濃度は2%。
認定され供されるピッツァの生地はかなりしょっぱい。
0.5%は実は大変な差です0.1%違ってもけっこう多くの方が気付くはず。
人間には食味に対してかなりの許容範囲がありますし、旨みは相応の塩分を必要とするのが理解されているところで、しっかりと醸成されたナポリピザの生地の旨みは大変なものでかなりの塩分を受け止めることができます。
しかしそれも、マルゲリータいいでしょう、カプリチョーザ?具によって大丈夫です、しかし塩分の多い食材を用いたもの青かびチーズや生ハム、
クワトロフォルマッジョ!生ハムのピッツァ「レジーナ」とてもではありませんがナポリピザの生地に合わせるならこれは料理として成り立たない。
ナポリピッツァ認定協会認定のピッツェリアでこのどちらかのピッツァを食べてきた人にぜひこの質問をしてみてください。
「生地の風味はいかがでしたか?」
誰も答えられないと思います、素材の強い旨みと塩分でそれどころではなく、食べ進めるうちに口が疲れ、強い刺激にいい加減慣らされてコルニチョーネ(縁の丘の部分)も他よりは塩分の少ない穏やかな味として記憶に残る程度だと思います。
そう、ピザは伝統に固執するが故料理として成り立たないことがある。
ピッツァの発祥はナポリ、南でできて各地に広がったものです。
ですが現在ピッツァに合わせる食材として欠かせない生ハムやゴルゴンゾーラチーズは中部から北にかけて作られていたもので両者が出会ったのはピッツァの伝統が固まった後のことのようです。
伝統のナポリピザの生地は強い塩分の素材と合わせることを想定して作られてはいないんです。
私は一般的なイタリア料理を習得した後にピッツァを手掛けることとなりましたので素朴にその矛盾に気付くことができました。
おそらくこの伝統のナポリ生地はマルゲリータのような塩分の少ない食材と合わせて最大限生きる分量で作られたものなのでしょうね。
それを伝統と無批判に続ける愚かさを私は軽蔑します、食べさせられるお客さんには同情を。
もっと美味しいはずなんです。
もしナポリピザ認定協会の認定を受けたお店に行く機会があった際はどうぞ塩分の少ない素材を使ったメニューをチョイスしてください。
当店ではどれでもお召し上がりを、当店の生地はパンと同じ程度に塩分を控え、塩分の少ない食材には適度な塩分を与えて一つずつバランスを整えて提供させていただいています。
当たり前なんですよ、美味しく食べてもらうように作るのが私達の仕事ですから。


Posted by lafreccia at 00:07:53 | from category: 料理 ピッツァ  | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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