September 27, 2006

誇らしげなコルニチョーネ

本格的にピッツァを提供するようになって6年、その都度何かしら意識しつつピッツァを作っています。最近の課題は焼き時間、ある一定の焼き加減を得るということでそれはどのくらいの温度で焼くのかということと同じ意味でもあります。
おいしいナポリピザの条件の一つとして生地の焼け具合が重要なことです、特に表面のパリッとした感じと内側のもっちりと水分を充分に含んだ食感、この内と外のメリハリが大切な要素でしょう。このメリハリを出すために生地の質もさることながら焼成の温度が重要な要素になってきます。私がベストと感じるのは焼き時間で55秒から1分といったところでしょうか、1分を30秒も過ぎるとあまりいい状態とは言えません。温度にして炉床で380℃上は私の持っている温度計ではぎりぎり振り切ってしまい正確にはわかりませんが500℃から520℃くらいです。
この温度で焼けるとまた一つ次元が変わったように感じられます。
温度が低いと極端にはクッキーなどのようにさっくりと全体が均一に焼けます。
逆に高温になるほど内側の水分が保たれたままの状態で外はパリッと焼くことができます。パンなどを焼いた事がある方はそんな短時間では中は焼けないのではないかと疑問に思うのではないでしょうか?しかし500℃という温度下では瞬時に表面に膜ができてその一枚内側は高温の蒸気で満たされるわけです。短時間で充分に糊化が進みます。その適度な時間が1分間というわけです。
このちょっとした進歩が堪りません一歩一歩自分達の作るものが成熟していって、様々な良さを身にまとい格調を持つ、食べた人の笑顔がそれを教えてくれます。物を作る仕事のこれが醍醐味でしょう。
うちはガス窯でやっていますからこの温度調整は比較的楽なのですが、薪窯で同じように温度を調整するのはきっと大変なことでしょう。生地の準備やフィリングの用意、それをしながら窯の火もコントロールしなければいけないわけです。相当の熟練が必要です。薪をくべるペースで温度調整するそうですが高温を維持する際には炉床を何らかの方法で冷やすことをしないと裏を焦がしてしまうとか、ということは状況によってお店にもよるでしょうが薪窯を使う店ではある程度妥協した比較的低温で焼いている?こともあるかもしれません、ピッツァを食べ歩きしていた時期があったのですが思い起こすと生地自体がある程度のレベルに達していたのは一握りの店でした。当時はその違いがどのようなことなのか判断がつかずにいたのですが、それはつまり純粋に職人の技量の差だったのかもしれません。
薪窯はどうなのかなぁと思うのですがこれは経営者のかたの考え方次第です。
よく薪の香りということが言われますが、ぜひそれも食べ比べてみてほしいものです。
煙で付く香りと素材自体が適度に焼き上げて得られた香りとどちらが実際に良いものか、つまりスモークすることによっても良い風味は得られるわけですが、それは食材自体が適度に焼き上げられたときの風味を超えるものなのかどうか。私の感覚では小麦粉が程よく焼けたときの甘い繊細な香りを消してしまうという印象です。うちのピッツァは食べ歩く人に食べさせるとたまに甘い香りがすると言われます。しかしそれは小麦粉が持っている本来の香りでしかないわけです。ちょっとした工夫で道具は何倍にもその良さを発揮するものです。そのせいかラ・フレッチャのクアトロフォルマッジョはハチミツと合わせて特別に良さが生きるようです。
ちなみに何かをスモークする際にはチップに砂糖を合わせて使いバランスを取らないと適度な風味にはなりません、それがピザの薪窯はそのようなことはしませんから与えるスモークとしてはそれほどレベルは高くない?のかもしれません、しかし好みにもよることですからそれは一概には言えません。
薪窯でなくてもうまく使えば安定していい状態を保てる上に作り手に新たな発想をする余裕を与えてくれます。私達が守るべき伝統はやり方とか設備でなく出来上がる物の質だと思うのですがどうなのでしょう。
私もイタリアに店を作っていたらきっと薪窯を使っていたと思いますが、日本ではそれはとても高価なものです。さて日本でピザ窯職人が活躍するのはいつの日か!
興味のある方には是非やってみてほしいものです。きっと人気が出ると思います。
正直ちまたのピッツァ専門店ではその内容にあまり進歩がないものだなぁと最近思うようになりましたが、これも技術的な事情を考えると新しいものを作ることがおざなりになるのも仕方ないことなのでしょう。
ちなみに当店のピッツァイオーロは入店2年目の若手の調理スタッフです。
今では1分を何秒過ぎてしまったと嘆く、私よりマニアックな取り組み方で頼もしい限りです。
今回の季節メニューでは美食家風と題してちょっと変わったピッツァをオンリストしました。
やっと安全が確認されて再開された(牛ではありません、ご安心を)フランス産のうずらをメインにトリュフとフォアグラを取り合わせたピッツァです。
うずらはほぐして乗せますから骨離れのいいようにコンフィにして直前に軽くあぶり焼きをします。ブッファラを置いたうえにこのうずらを散らしてその上に薄切りにしたフォアグラ正確には鴨なのでフォアドカナール、オアより私が好んで使うこのフォアドカナールは高温のあぶり焼きに向いていて焼き上がりの香りは素晴らしいものです。しかし大変もったいないことに敢えてここにトリュフを散らすことにします。あとは食べていただくしかありません、さてそのハーモニーは?
料金は2000円内容からすると頑張った値段なのですが私の感覚ではピッツァとしては高い、同じものがイタリアで売られていたらいくら?という感覚が私にはあってとてもピッツァを高価な食物にすることはしたくないわけです。
さぁラ・フレッチャ秋のメニューをご賞味ください!
Buon appetito !!



Posted by lafreccia at 12:32:45 | from category: 料理 ピッツァ  | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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