October 18, 2006

カルボナーラ(炭焼き職人風)

面白い話があります。
パスタ料理カルボナーラの発祥は第二次大戦後、駐留していたアメリカ軍のある人がローマのレストランにベーコンを持ち込み作らせたものと言われています。イタリアの料理人がイタリアの人のためでなくアメリカ人のため考案した料理、クリームが使われ当時食糧事情の悪かったイタリアでアメリカ駐留軍の食糧用に用意されたもの、保存性の良い薫煙された食品であるベーコンが使われています。その後も人気を博しやはりレストランで主に観光客用に供されていたようです。イタリア人の当たり前の感覚ではベーコンでなくパンチェッタ、クリームよりも卵とたっぷりのチーズの組み合わせが好まれるようです。
本当にイタリアの方はパルミジャーノのような硬質チーズの味が好きなようで実に様々な料理に使われているのを見かけます。
イタリアの人が好むカルボナーラのレシピではそのチーズとパンチェッタから流れ出したラード、香ばしく焼かれたパンチェッタの香り、とても強いインパクトのある味です。もちろんごく近年にできたものでもその土地の方達の好み、より親しんだ食材で作られたものをこの国の料理の正統とするのは当然で私もそのように了承しています。しかし生クリームを使ったものが人気を集めたのも事実です。合わせる食材がベーコンだから生クリームが使われるわけです。この組み合わせには相乗効果があります。ラ・フレッチャのお客様にもこのクリームを使ったカルボナーラのファンは多い。
私はイタリアの伝統料理にパルミジャーノなどの硬質チーズを使用したものが余りに多いとかねてから少し残念に思っています。確かにチーズはおいしいのですが日本で言えば醤油に例えられるでしょうか、ものによっては使い過ぎで食材の個性を潰してしまうことが有ります。わざと使用しなかったり量を減らしてバランスを取ることに注意しています。カルボナーラもイタリア人の好むレシピだとパルミジャーノ(ペコリーノロマーノでも両方を合わせても)はある程度の量入れないとパンチェッタとのバランスが取れず、特別な相乗効果のようなことはなくただ双方の味の強さが出て、結果組み合わせによる魅力は余り得られず、チーズのおいしさで食べる料理になってしまい勝ちです。ラ・フレッチャではクリームを使ったレシピで提供しています。私が理解するところではこのレシピではベーコンの良さを引き出すのが大切でクリームとの組み合わせで相乗効果が生まれとても魅力的です。結果パルミジャーノなどは少量閾値以下で使いベーコンのおいしさが引き立つ料理としています。
ラ・フレッチャでカルボナーラを食べていただくと、あぁいいベーコンを使っているねと褒めていただくことがありますが、ベーコンはもちろんできるだけ良いものを選んで仕入れてはいますが、それはごく一般的な値段のものでプレミアム品ではありません。下ごしらえと加減でその雰囲気は作られています。
クリーム、ベーコンを使うカルボナーラは偽者、日本のレシピじゃないかと少し誤解されているようです。その発祥に少々事情があってそのように取られてしまうのだと思いますが、ベーコン、クリームを使ったカルボナーラがまず先にあったわけです。
持ち込まれた食材でアメリカ人向けに作られたものですから伝統料理とは言い難いようですが当時イタリアでとても人気のあった料理であることは間違いないようです。自分なりに検証比較した結果このカルボナーラを当店のメニューとしています。
提供する場所が変われば選ぶべき食材も食べる人も変わります。日本ではパンチェッタよりもベーコンの方が手に入り易く競争されている分安価で良いもの仕入れることができます。あまり伝統のレシピに捉われ過ぎても良いものを見失うことになってしまいます。料理人がそれぞれ取捨選択すればいいことと思います。今度機会があったらもう一つのカルボナーラを取り上げてもいいでしょう、そのときはグアンチャーレなんかを使いクリームを使わずに思い切り個性的に仕上げたいと思い描いています。



Posted by lafreccia at 17:52:32 | from category: 料理 パスタ料理 | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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